知人である某大企業の営業課長A氏はこう自虐する。
「組織という枠組みの中で、与えられた役割を忠実にこなすだけの忠犬。それが課長さ。既定路線から踏み外さず、汲々と自己保身する負け犬に組織改革など期待できるわけがない」
なかなか手厳しい言葉である。しかし私からすればまだまだあまちゃん。
負け犬なら吠えることもできよう。大半の課長は、吠えることもできずにただひっそり社内の片隅にたたずむセミの抜け殻である。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
私は日本の課長たちを愛してやまない。
かくいう私もセミの抜け殻だった。今でこそ業界屈指の異端児として名を馳せているものの、かつての私はある大企業の人事課長だった。仕事とは会社から与えられるものだと思っていた。上司からの指示を部下に伝えるだけのメッセンジャーに成り下がっていた。そう、私はまさに組織に飼い馴らされた社畜だった。
そんなセミの抜け殻同然の私を変えたのは、会社を揺るがせたある一大事件だった。そう、あの夏、私は――、おっと、その話をするのはまだ早すぎる。このサイトを読み進めれば、いずれわかるときが来るだろう。
――セミが捨てた抜け殻を身にまとう哀れな社畜になりたくないなら、良く聞いてほしい。
このサイトでは、課長や課長を目指す者たちが、課長としてふさわしい能力を身につけられるよう、課長に求められる役割とそのスキルアップ方法について解説する。このサイトをくまなく読み込めば、そのちっぽけな蝉の抜け殻を脱ぎ捨て、大きな空へと高く飛び立つことができるだろう。
今、日本は未曾有の危機を迎えている。日本の課長たちよ、今こそ武器を持って発ちあがってほしい。このサイトが、その一助になればこれほど名誉なことはない。君たちの健闘を祈っている。