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課長のスキルアップに効果的なのがインバスケット演習である。インバスケット演習は、課長への昇進・昇格試験や、管理者向け研修で教材として使われることが多く、課長であれば知っている人もいるだろう。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
インバスケットを昭和風にいうと未決箱である。カゴの中に未処理の書類が溜まっている状況をイメージしてほしい。今ならメールボックスに溜まった未開封メールと考えて差し支えない。これを課長の立場で大量かつ迅速に処理していくのである。もちろん、インバスケット演習に取り組む際には、あらかじめ役割が与えられる。不動産会社の総務課の課長であったり、自動車メーカーの工場長であったり、業種・業態は様々だが、あなたに求められるのは、課長としての判断力であり、問題解決力である。
未処理案件の中には、すでに締切を過ぎている緊急性の高い案件や、放置しておくと組織に深刻な被害を及ぼす重要性の高い案件など、様々な案件が含まれている。顧客クレームやコンプライアンスに関わるもの、上司からの命令や部下からの相談など、持ち込まれる問題も多様だ。
これらの未処理案件を、限られた時間で処理するのがインバスケットである。あまりにも大量の案件をさばく必要に迫られるため、インバスケットに取り組んでいる最中は時間に追われてアドレナリンがどっと吹き出るのだが、終わった後に自分の処理内容を見返してみると、今度は冷や汗をかくことになる。
重要な案件を未処理のまま放置してしまったり、かと思えば部下に振ればいいような簡単な案件にやたら時間をかけてしまったり、インバスケットを終えたほとんどの課長が、自分の処理結果に不満を覚えるという。インバスケットをすることによって自分の管理スタイルの欠陥がよく見えてくるため、これを気づきとして日常業務を振り返り、自分の判断力やマネジメント力を改善させるのである。
課長としての判断力を鍛えたい人は、ぜひインバスケット演習に取り組んでほしい。