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「決定」と「決断」の違いをご存知だろうか?
「決定」とは、判断する材料が揃っている中で結論を出すこと。
「決断」とは、判断材料が100%そろわない中で、リスクを負って結論を出すこと。
残念ながら、多くの課長が行っている意思決定は、「決断」ではなく「決定」である。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
意思決定には個々の癖がある。
その傾向を自分なりに把握しておくことで、課長としての意思決定の失敗をある程度防ぐことができる。
これまでに自身が行った意思決定を振り返ってみたい。
その際の意思決定の拠りどころは、
・主観に基づくものであったのか?
・客観に基づくものであったのか?
・他律的、他者の意見に影響されたものであったのか?
・自律的、自己の意見に基づくものであったのか?
といった観点からチェックしてほしい。
あまりこだわりなく軽快に決断する、という特性があるものの、主に、「直観」や「経験則」から判断し、周囲の人からすすめられるままに、安易に物事に飛びついてしまう。
よくいえば人柄にくせのない、育ちの良いタイプとと言える。悪く言えば、人生においてあまり苦労をしたことがない、お人よしタイプである。
この領域で意思決定することが多い課長は、人から騙されないよう注意する必要がある。
逆に言えば、「心から信頼できるサポート役」を部下に持つことができれば、自身の持ち味を発揮しながら、安心して業務に取り組むことができる。
自身のこだわりもさほどなく、あまり主観に左右されることなく、冷静に物事を眺めることができるのが持ち味だが、自らの判断軸を持たず、流れに身を委ねがち、といった日和見的な判断傾向が強くなる。
大企業の管理職や官僚に多いタイプである。
この領域で意思決定することが多い課長は、(というより、意思決定しないことを意思決定する)決断しないことのリスクに注意する必要がある。
他者の失敗例や自己の経験から学び、自身の判断軸を磨き上げることと、いざというときに、責任を自ら背負って決断するという腹を据えることが肝要である。
自分なりのこだわりや価値観を強く持ち、正確な情報を幅広く収集しながら、堅固で緻密なロジックを組み立てることを指向する。
しかし反面、何事も石橋を叩いて、叩いて、それでもなおかつ渡ろうとせず、足元固めに終始する、といった判断傾向が強くなる。
この「客観・自律型」は、慎重で疑り深く、人にも懐疑的に接するため、人望を集めることに難がある。
この領域で意思決定することが多い人は、決断のタイミングを逃しがちである。
ビジネスには「その場の勢い」も大切な局面がある。
スピード感をもって時流を捉え、場面に応じた迅速な意思決定を意識してほしい。
自分の「直感」や「経験則」に従って、迷うことなく意思決定を行う。
実践感覚で物事を見定め、スピード感をもって物事を推進する。
しかし反面、判断に「主観」が混ざり、ときに思い込みで突っ走る傾向が見られる。
この領域で意思決定することが多い課長は、人の意見に耳を傾ける意識が必要である。
自身の思惑にそって物事を判断するのではなく、冷静・客観的・多面的な視点から、自身の置かれた環境を見極めることが肝要である。
群れに追随し、牧夫の引導がないとねぐらにも帰れない臆病な子羊になりたくないなら、良く聞いてほしい。
意思決定に正解はない。
後から振り返り、成果に至った結果だけを見て「あの決断は正解だった」とか、「決断を誤った」などと評価することはできる。しかし、意思決定をする局面では、その結果がどうなるかを確実に予測することは困難である。
正解がないのなら、決断は早い方がいい。決断が早ければ、失敗したときにも修正が効きやすい。
意思決定には物理的限界がない。本人の心がけ次第で、いくらでも早くできる。スピード化が求められる時代、決断の回転サイクルにギアを入れ、早期の成果獲得に結び付けてほしい。