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某大企業の某課長に、普段の仕事の仕方を聞いてみた。
「やっぱり優先順位を大切にしています。朝、出社したらメールをチェックして、対応しやすいものから返事をします。で、今取り組んでいる仕事の中から、取りかかりやすい簡単な仕事を選んで着手します。残った案件は、まずは上司に判断を仰ぎますね。あ、部下に現状確認の指示を出したり、報告書をまとめてもらうのも……」
おいおいおいおい。
課長の仕事は学力テストではないんだぞ。
優先順位の判断基準が「簡単かどうか」になっているようでは、課長失格である。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
もちろん、いまどきの課長は暇ではないし、すべての仕事を自分でこなすのは不可能である。上司や部下、関連部署や外部協力者をうまく巻き込んで、効果・効率を高めながら仕事を進めていく必要がある。
そのためには仕事に優先順位を付けることが大切だが、その尺度としては「重要度」と「緊急度」を使うのが原則である。
課長たるもの、仕事に取り組む際に、その仕事の重要性と緊急性を常に考えるようにしたい。
当然、重要度も緊急度も高い仕事は優先的に取り組む必要があるだろう。
問題なのは、@重要度が高く、緊急度が低い仕事と、A重要度が低く、緊急度が高い仕事のどちらを優先するかである。
ついつい緊急度が高い仕事に身を投じてしまいがちだが、それでは課長は務まらない。
課長であれば、より重要度の高い仕事に自分の時間を使うべきである。重要度の高い仕事は、組織全体への影響度が大きく、成果向上に貢献するものである。こういう仕事には、腰をすえてじっくり取り組んでほしい。
逆に、どんなに急ぎの仕事でも、重要度が低いと判断したなら、たとえ緊急度が高くても、それは部下に任せてしまいたい。ベテランの部下であれば、きっとミスなく確実にこなしてくれるだろう。
最後に、重要度も低く、緊急度も低い仕事はどうしたらよいだろう?
これはぜひ部下育成に活用したい。新人の部下に振るなりして、若手の実務経験の肥やしにするのが良いだろう。
長らく机の中に放置されたコッペパンのカビになりたくないなら、良く聞いてほしい。
緊急性が高い仕事を次々とこなすことは、達成感もあり、気持ちよいものである。周囲からも労い、感謝されることだろう。
一方、重要性が高い仕事をこなすのは、底のない泥沼をさらうように厄介で気が重い。周囲からも「この忙しいときに、さぼってやがる」と誤解されがちである。
しかし、課長が力を入れるべきは、緊急性よりも重要性の高い仕事であることを決して忘れてはいけない。自ら望んで緊急性の高い業務に身を投じることのないよう、留意してほしい。