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課長には「幽体離脱」の視点が必要である。
肉体的な時間・空間の制約から脱し、より高い視点、より広い視野で組織全体を俯瞰する視点が求められる。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
今日は課長の目標設定力について説明したい。
ミドルマネジメントとしての課長ともなれば、これまでとは違った空間軸・時間軸で物事を捉えていくことが必要だ。
課長として新しい部署に着任した時から想定しておかなければならないのは、自分が担当する部門をどういう組織に創り上げたいかというゴールイメージだ。
何年後になるかはわからないが、いずれ後任に課長の座を譲る時が来る。
そのとき、どういう組織を後任に引き継ぎたいだろうか?
当然、自分がいなくなった途端、成果が落ちるような組織では困るわけである。自分が異動になっても、自分が残した組織が自律的に機能し、これまで以上の成果を出せるよう、部下を育成しておかなければならない。
そのためには、時間軸を「点」ではなく、「線」で捉えなおす必要がある。
「今」だけを見ていては、自律的な組織を創り出すことは難しい。
もちろん、「この報告書は誰に頼んでいつまでに仕上げてもらうか」とか「まずは現状を確認して日程調整を」といった目前の実務的な視点も必要なのだが、そんなミクロな視点だけでは課長の役目は務まらないということを肝に銘じておいてほしい。
数年後の後任へのバトンタッチに向けて、明確なビジョンをもって臨むことが必要である。
これまでの背景を踏まえた上で、組織をよりよくするために何をするべきか、というマクロな視点からビジョンメイキングを行い、日々の業務に取り組むのだ。
広がるのは時間軸だけではない。
空間軸も、全国、海外へと活動エリアを広げるとともに、他部門や対外的な折衝も含めて、より広範な活動領域へ拡大していく必要がある。
大海を知らず、狭くて薄暗いじめじめとした井戸の中に閉じこもる蛙になりたくないなら、良く聞いてほしい。
課長には、メタ認知能力が求められる。
より高い視点から、自分を取り巻く組織内外の環境を客観的に見つめるもう一人の自分を育てることである。
幽体離脱のできない課長に明日はない。中長期のスパンで組織を俯瞰する大局観を養って、ビジョナリー・リーダーシップを発揮してほしい。