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課長は財務・会計にも明るくなければならない。専門的である必要はないが、取引先の財務チェックをする必要があるし、自社の決算状況を知っておくことも大切だ。決算書をざっと見ればだいたいどのような会社であるか判断できるくらいの知識は持っておきたい。
親愛なる課長の皆さん、こんにちは。
課長のスキルアップ講座を担当する飼馴嵐務(かいならし・つとむ)です。
決算書を読みこなすもっとも重要なポイントは、「比較」することである。
1期分、1社分の決算書から得られる情報にはあまり意味がない。
「去年と今年でどう変わったか?」
「わが社とライバル企業の財務上の違いはなにか?」
とい具合に、決算書とは比較して初めて意味が出てくるものなのである。
決算書には、主に、会社の儲け具合を示す「損益計算書」と、会社の資産状況を示す「貸借対照表」、お金の流れを示す「キャッシュフロー計算書」がある。いわゆる財務諸表といわれるものである。
損益計算書では、5つの利益を中心にチェックする。5つの利益とは、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益である。これらの5つの利益のうち、どこかに赤字があれば、何らかの問題を抱えた決算であったと考えて差し支えない。
貸借対照表では、資産と負債のバランスを見る。資産では、売掛金、棚卸資産をチェックし、負債では、買掛金や借入金をチェックする。流動資産で流動負債を賄えないような資産状況はリスクが高い。また、純資産の部がマイナスになっている債務超過の会社は危機的な財務状況にあるとみていいだろう。
キャッシュフロー計算書では、営業活動によって得た営業キャッシュフローがプラスであること、営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加えたフリーキャッシュフローがどれだけあるか、などをチェックしてほしい。損益計算書上で利益が出ていても、キャッシュフロー上でキャッシュがマイナス状況であれば、資金繰り上の問題を抱えている可能性が高い。
黒字倒産という言葉があるように、会社は業績がどんなによくても、キャッシュ不足に陥ればつぶれてしまう。皮肉な話ではあるが、成長している企業ほど、仕入れや投資にお金を回すので、手持ち現金が少なく資金繰りに苦しむ傾向がある。帳簿上の利益よりも、現金をどれだけ持っているかということにも注意を払う必要があるだろう。